窯業瓦金型
こだわりの瓦金型づくりで日本の屋根に貢献
窯業瓦業界は、瓦の出荷額の減少により伝統的な分業生産システムが変わりつつある。弊社においても防災瓦、雪止桟瓦などの特殊金型や真空土練機の口金製作など弊社の生産体制では十分に応えられない難加工の依頼が増え課題となっている。
そこで、最新鋭のワイヤ放電加工機を導入して生産プロセスの革新を図り、複雑かつ微細形状の高精度な精密加工にもワンストップで素早く対応できる技術サービス体制を構築して瓦金型の更なる受注拡大を目指します。
企業沿革
昭和47年、豊田自動織機に旋盤職人として勤めていた先々代が高浜市で伊藤鉄工所を創業。昭和54年、現会長が24歳で新たに窯業機瓦金型で事業を承継し、昭和60年、社名を有限会社伊藤技研に変更して法人化。地場の三州瓦メーカーを主なお客様に、マシニング加工による高度な切削加工技術で粘土瓦の金型を製造しています。金型の補修(使用した金型の面板交換、及び部品の交換作業)や金型の修正(お客様の希望の形状に応じた修正加工)も行っています。当社は、“瓦の町高浜”では後発の瓦金型工場としてスタートしましたが、高付加価値の製品づくりを経営理念に掲げ、お客様の多様なニーズに高度な技術力とアイデアで応えて来ました。瓦メーカーに提案して開発した「袖瓦」の他「かんたん軒瓦」「かんたん一文字瓦」は特許、実用新案を取得しています。
窯業瓦業界の現状
(1)瓦業界沿革
高浜市や碧南市を中心とする地域で作られる粘土瓦は、一般に三州瓦と呼ばれこの三州瓦をつくる産地を三州産地と呼び、国内最大の産地となっています。他に、石州産地(島根県)と淡路産地(兵庫県)で、粘土瓦の三大産地と呼ばれています。昭和30年に真空土練機が開発され、その後トンネル窯が導入されたことによって大量生産が可能になり生産量が飛躍的に増加しました。
(2)粘土瓦の知識
粘土瓦は粘土を原料にした瓦で、様々な色や形のものがあります。一般的には、製法、形状、種類などによって分類されます。
(2)陶器瓦(写真2)
<形状による分類>
1)和形瓦(写真1)(写真2)
和形瓦は、江戸時代に考案された波うった形の和風タイプの瓦。日本では最もなじみのある瓦です。
2)平板瓦(写真3)
<種類による分類>
屋根の平面に使われる地葺き用の瓦。地瓦の中で桟瓦(さんかわら)は、住宅の桟に葺く瓦で金型の需要も多い。
2)役瓦
弊社は、桟瓦の金型だけでなく、軒瓦、袖瓦といった役瓦の金型も数多く製作している。流麗な日本屋根のシルエットは、桟瓦をはじめ軒、袖、棟などそれぞれの役割を担った瓦が美しく調和して生まれます。その個々の美しい瓦を、金型を通して弊社がお手伝いしています。当社の開発した特許・意匠の袖瓦、軒瓦製品もあります。(写真は伊勢袖でも紐付き袖でもない製品です。)
(3)市場(顧客)ニーズと他社の動向
全国各地で地場の瓦として作られていた粘土瓦は、原料の枯渇化や他の屋根材の導入などにより淘汰され、現在は主に三大産地(三州、石州、淡路)で約90%生産されています。工業統計表(平成21年)によれば、愛知県(三州)の粘土瓦の出荷数は、約3億8,475万枚で、島根県(石州)の8150万枚、兵庫県(淡路)の4,697万枚を大きく引き離し、全国トップを誇っています。住宅着工件数の減少、屋根材の多様化、太陽光パネルの導入などにより粘土瓦は年々使用が減り、出荷数は、1973 年の20 億枚をピークに、1995年の阪神大震災時に「瓦の重さが建物倒壊の原因」というような風評が流れ、和瓦葺き屋根に対する重さの偏見が生まれ瓦屋根の激減を招いた結果、2010 年には5億枚とピーク時の4分の1になっています。瓦金型業界も、瓦メーカーの発展と共に成長してきましたが、取引先である瓦メーカーがピーク時の5分の1に減少するに伴い仕事量が激減し、後継者問題もあって、窯業金型企業は、近い将来3分の2が廃業するともいわれています。
弊社の取り組み
「分業」から「集約」へ
「瓦」の金型に関わる技術のワンストップ・サービスの提供
三州瓦が全国有数の瓦生産地として発展することができた要因の一つに、瓦生産の分業がいち早く確立したことが上げられます。この地には粘土業者、釉薬者、機械製造業者がそれぞれ独立して複数あることから、瓦メーカーもそれぞれの特色にあった業者と協力しながら、互いに切磋琢磨し、他の瓦生産地に負けない競争力をつけていくことができました。この分業システムは、瓦金型業界においても確立され、これまで鋳物を素材とした瓦金型の切削を専門に行なう弊社のような瓦金型専門業者と主に鉄鋼の切削など部品加工や特殊金型を専門に行なう機械金型専門業者に、仕事の内容により棲み分けされていました。しかし、防災瓦や雪止桟瓦など特殊な切削加工技術を必要とする製品が出て、その需要が高まると棲み分けの垣根も崩れ、仕事が一箇所に集中するようになってきました。「分業」から「集約」へ生産システムが変わり、金型に関わる全ての切削加工技術をワンストップで提供できる生産・サービス体制を早急に構築する必要性に迫られています。
弊社の目指すサービス
複雑かつ微細形状といった難加工に対応する高精度な切削加工技術の提供
今後、瓦金型の多機能化が進み、仕様用途によって三次元加工など複雑な形状、難加工が求められるケースが多くなってきます。そのため、複雑で繊細な形状、難削材に対応する高精度な切削加工技術が求められています。これら高度化する顧客ニーズに的確に応えるためには、生産プロセスの革新を図ることが弊社の喫緊の課題です。そこで、最新鋭のワイヤ放電加工機を導入して、弊社のこれまで培ってきた精密加工技術と併せて、複雑かつ微細形状の高精度な精密加工にもワンストップで素早く対応できる技術サービス体制を構築して瓦金型の更なる受注拡大を目指すことを目的とします。